活動への想い

「子どもたちが大人になりたくなる社会を作りたい」
その活動「宝島フェス」を始めて10年、前身となる「ほんわか寺子屋」を始めて13年が経とうとしています。

なぜこのような活動をやろうと思ったかお話しします。
私が20才の頃、大人になりたくない子どもでした。

本屋には「ピーターパンシンドローム」という本が山積みされていて、それを見るのも嫌で、見つけると裏返しにしていたくらいでした。

その後、ご縁があって結婚し、息子が生まれました。
自分のことが嫌いだった私は、「息子には子どもらしい子どもになってほしい」と願い、自分の思いを妻と息子に押し付け、結果として妻とは離婚、息子は不登校となってしまいました。

そんな息子に、私は「学校に行け!」と怒鳴っていた親でした。
そんな私を見て、大人になりたいと思ってくれたでしょうか?
当時は地獄のような毎日で精神的にも辛かったです。
そんな状況は、彼が10才から高校1年になるまで続きました。

そんなタイミングで人生の恩師と出会います。
その方は当時小学校の教師をされていて、自己肯定感が低い小学生が増えているのを憂い、小さな子どもが「自分大好き」になるワークショップをされていました。
受講してみると、大人の私にも分かりやすく、楽しい内容で、3ヶ月に一度の頻度で参加していました。
一年が経とうとしていた頃、周りから「顔つきが変わった」「怒らなくなった」と言われるようになりました。

そして、、、
息子が不登校をやめました。

「子どもが大人になりたくなるには、まず大人が変わることが大切だ」と気付かされました。

ほんわか寺子屋では、大人の心のケアを大切にしながら子どもと向き合っていました。
心理学や知識を伴うセミナーというより、小学生でも分かるような、テープやマジック、写真を使ったワークショップを行いました。
セミナーが終わった頃、ご夫婦の会話が増えたり、親子の会話が増えていました。

寺子屋の参加者の中に中学校の先生がいらっしゃいました。
その先生の教え子に、卒業後も連絡を取り合っている女の子がいました。
メンタル的に不安定な子で、先生とメールのやり取りをしていました。
ある年、先生が新しい学校に赴任となり、4,5月多忙のためメールのやり取りが止まった時期があり、その女の子が自死されました。
電話口で先生が泣きながらその子の死を報告してくれました。
そして、「自殺防止の寺子屋をしてほしい」と懇願されました。
私は「分かりました。開きましょう。
でもね、お子さんのケアをする寺子屋では10人参加して10人助けられるのが精一杯。
でももし、先生の寺子屋を開いて10人が参加したら、その先生から繋がる子どもたち1000人、10000人を助けられるかもしれない」
と言って、先生対象のセミナー「先生の寺子屋」を企画しました。

先生の寺子屋では、最後に発表会を予定していました。寺子屋で学んだこと、気づいたこと、寺子屋を受けて今後やってみたいことを発表します。
参加者の1人が「子どもたちの前で発表したい」と希望されました。子どもたちに「先生が発表するから、見にきてほしい」と頼んでみると言われました。
「先生の発表の場を作るだけで、子どもたち(親御さんたち)が見にきてくれるかな?」と疑問でした。
それなら、、、「親子で遊べる場を作って家族連れを集め、その会場で発表会をすれば良い」とアイディアが出てきたのです。
それが「宝島フェス」です。

宝島フェスも変化していきました。
当初は「先生の思いを聞いてほしい」と企画されたものでしたが、
「親子の会話、夫婦の会話が増えるきっかけとなるイベントにしたい」となっていきました。

会場には多くのお店(宝島)が用意されていて、親子や夫婦で楽しく遊べます。
その様子を撮影することもあるでしょう。ただ、素敵な写真の殆どがスマホの中で眠ってしまうかもしれません。
それなら、その中の一枚を選んで、会場内でプリントアウトし、フォトフレームに入れて、シールやペンで飾り付け持ち帰ってみたら。
その日の夜、フォトフレームを真ん中にして、夫婦の会話、家族の会話が増えていくかもしれない。
毎年参加することで、お子さんの成長も感じられることでしょう。

子どもたちが大人になりたくなるためにも大人の心のケアをする。
大切なのは、夫婦の会話、親子の会話を増やすこと。

でも、会話したくてもできずに苦しんでいる大人が多い。
それなら「会話したくなる雰囲気作り」ができたらどうだろう?

宝島フェスで持ち帰るフォトフレームが、会話を促すお手伝い、応援ができると思ったのです。

2023年、ほんわか寺子屋を始めて13年、宝島フェスを始めて10年を迎えます。

この活動を始める前、自分の周りにいる友人知人、会社関係者、ボランティア関係者約300名に相談しました。

全員から「生活が続かない。やめろ!」と言われました。
全員から「でも、その活動は今の世に必要だね」と言われました。

この言葉を胸に刻んで、今後も続けていく所存です。

NPO法人ほんわかのタネまき
代表理事 坂本茂樹(しげっちゃん)